かっぱちゃんの耳

感覚過敏やらADHDの診断をもらった大学生が、特別支援学級の先生になりました。

2月18日 ”睡眠時の半覚醒?”と、中学時代の金縛り格闘記

以前、しーちゃんが私の困っていることについて聞き取りをして、ノートにまとめてくれたとき。

後からノートを見ると、ときどき私の知らない記述がありました。

睡眠時の半覚醒?

の文字。

 

どういうことなのかと聞くと、

「かっぱちゃん、夜ときどき、半分起きて、半分寝てるみたいなかんじになって、自分で一生懸命起きようとして、自分の手に噛みついてるときがある。

朝になって聞いてみても、あんまり覚えてないみたい」

と言っていました。(部活のメンバーでしょっちゅうお泊り映画会をするので私の睡眠時の症状を知っていることに不思議はないのですが…しーちゃんあなたはなんで起きてるの)

 

自分が知らない間に、自分が自傷行為をしているというのは、聞いてなかなかにショックなものがありました。

 

小さい頃からの癖で、落ち着きたいときに両手を強く握りこんだり(それで手の甲に爪の跡がついてしまったり)、よくわからなくなくて考え込むときに左手の人差し指の関節を軽くガリガリかじったりというのは知ってたけど。

寝ている間にというのは、ほんとうに、私の知らないところで勝手に私の体が悪いことをしているかんじがして、しかもそれを他の人は見ているわけで…恥ずかしいような、怖いような、たぶん両方の気もちです。

 つづきです。

 

実は、「自分で一生懸命起きようとして、」という気持ちは、なんとなく覚えている気がするのです。

起きなきゃ、起きなきゃ、一回ちゃんと起きなきゃ、って焦るんです。

それはたぶん、中学のときの経験から、半分無意識に判断してしまうんだと思います。

〇中学に入ってから、「耳鳴りがする」と言って夜中に起きたり。

・(私の記憶)中学校後半~耳鳴りと金縛りに悩まされた。うとうとすると起こるから、布団に入っても寝れないし、夜中に一度起きてしまうとそれからずっと起きている。受験のストレスだったのか、高校に入ってからは落ち着いた。

2月17日 発達障害についての公開講座で聞いてきたこと②:ASDと睡眠の問題 - かっぱちゃんの耳

耳鳴りと、金縛りと格闘していた夜。

高校に入って以来ほとんど起きていないのですが、まるで昨夜も経験したことのように克明に覚えています。

 

ちょうど、眠りの世界に入る境界線。

まどろんでいると、どこからともなく突然、

ざぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいい

と大音量でテレビの雑音のような音と、低い話し声が聞こえはじめます。だんだん大きくなるんじゃなく、本当に誰かがテレビのスイッチをオンにしたように、いきなりはじまるんです。

びっくりして目が開くけど、他の体の部分は上手く動かない。「またあれだ」って怖くなって隣で寝ている妹に手を伸ばそうとしても、指先まで固くて動かせないし。「おかあさん!来て!」って呼びたいのに、喉がきゅうっと締まっているみたいで声も出ないし。深呼吸しようとしても上手く息も吸えない。

 

その間も、ざぃぃぃぃぃぃいいいってずっと聞こえています。

それに交じってぼそぼそ聞こえる話し声は、なんと言っているかわかりません。ごく稀に赤ちゃんの泣き声のような、犬の鳴き声のような音だったりもしました。

また誰かが気まぐれにスイッチをオフにして、突然、終わります。

 

「ああ、終わった」と思っても、しばらくは心臓がばくばくしています。少しずつ体が動かせるようになってくる。中学3年にもなって今さらお母さんのベッドのところに行くのは恥ずかしいので、少しだけ、隣で寝息を立てている妹のほうに体を寄せます。

怖いことは、疲れます。だから、ドキドキが少し治まってくると、すぐに眠たくなります。

そして、また

ちょうど、眠りの世界に入る境界線。

まどろんでいると、どこからともなく突然、

ざぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいい

 

 

何度でも、何度でも、繰り返されます。

眠る直前で無理やり髪を掴んで引き戻されるように、寝かせてもらえないのです。

そのうちに、カーテンの外が明るくなってきます。

 

幾晩も経験するうち、さすがに慣れてくるものです。

起こるたびに、怖いけど、怖いけど、「そのうち終わる」と自分に言い聞かせてじっと耐え忍ぶようになりました。無駄な抵抗もしないで、ただただ「ざぃぃぃいいいいい」を聞いている。

それから、そのループから抜け出す方法も見つけました。

 

それが、「いちど、ちゃんと起きる」ということでした。

眠気を一度ぜんぶ振り払うのです。「ざぃぃぃいいいい」が去ったあと、すごく眠いのを気合で、なんとか上半身を起こします。とろける眠気に流されてうっかり目を閉じるとまた始まってしまうので、がんばって布団をどかします。そうすると、寒さでちょっと目が覚めます。

「よし、目が覚めた、これでだいじょうぶだろう」と思って、朝まで眠れるときが3割くらい。

「だめだ、このまま寝たら。もっと、ちゃんと起きなきゃ」と思って寝室を出て、とくに行きたくもないのにトイレに行ったり、意味もなく冷蔵庫の中の光を覗きにいったり、冷たい水をごくごく飲んだりするのが6割くらい。

あとの1割は、何か別の方法で目を覚ましていたけれど、あまり覚えていないやつ。
横のベッドの壁を一生懸命蹴った記憶があるけど、それはお母さんを起こすためだったのか(壁部分を蹴ってもベッドはほとんど揺れないけど)、ベッドの壁がいつも冷たいことを知っていて、冷たいもので目を覚まそうと思ったからなのかは、よく覚えていません。

 

こうして目を覚ませば、とりあえず、眠いのに「ざぃぃぃぃぃいいい」が寝かせてくれない無限ループは終わります。

でも、そのまま眠れなくなってしまって、朝を迎えることもときどき。

とはいえ中学校で眠くて眠くて困った、という思い出はないので、たぶん睡眠量は足りていたのだと思います。

 

そんなわけで、耳鳴りと金縛りは、いちばん頻繁なときで2~3日に一度くらい起こっていました。

だから、今でも生々しく覚えているのだと思います。

音も、怖かった気持ちも、「起きなきゃ、ちゃんと起きなきゃ、」っていう焦りも。

 

 

 

ここからは、ちょっと推測の話になるのですが。

 

さっきの、よく覚えていない1割の起き方が、自分の体に直接 刺激を与えることだったんじゃないかなあ。

ベッドの壁をせっせと蹴っていたのも、冷たいくて固いものを裸足の足先で蹴ることで、目を覚まそうとしてたのかもしれません。

 

また、眠るときではないけれど、当時から、困って考え込んだとき、無意識に左手の指の関節をガブガブする癖がありました。

関係があるのかはわかりませんが、幼いときの眠るときの指しゃぶりは、親の努力にもかかわらず小学校に入ってもなかなか治りませんでした。

それを考えると、困って困って安心したくて、無意識に手を口にやってしまって。それをガブガブしてなんとか目を覚まそうとしていても、不思議ではないのかなと思います。

 

そしてそれが、しーちゃんの言っていた、「自分で一生懸命起きようとして、自分の手に噛みついてる」という状態につながるのではないでしょうか。

…自分のことなのに、他人の行動の分析みたいで変なかんじ。

 

 

しかしちょっと疑問が残るのは、大学に入ってから、耳鳴りや金縛りで眠れないという覚えはないし、睡眠に関してとくに困っていないということ。

放っておくと毎日でも睡眠時間は10時間ぐらい、よーくながーく寝ます。

平日の昼間ときどき眠いのは、家が遠くて早起きだから。学生あるある。

 

眠れなかったり、夜中に起きることは、たしかによくあるけれど。

でもそれは、布団かけすぎて暑いとか、父の鼻息か隣の部屋の音楽がうるさいとか、怖い夢を見たとか、急に外のバイクの音が聞こえてきたとか、さっき紅茶飲みすぎてトイレ行きたいとか、そういう普通の理由です。(でも自分の普通が世間の普通じゃないと気づいてしまった今となっては、それもあんまり信用できる安心材料にはならないけど)

あ、寝る寸前には過敏が出やすくて、パニックになることはときどき。でも、過呼吸まで行ってしまえば、一周回ってよく寝れます。

怖い夢の場合には「ああ、ちゃんと起きないとまた続きを見ちゃう」と思って、布団から出ることもあるけれど、ごくごく稀なケースです。

 

だから、基本的に熟睡!

 

そんなに困ってるかんじはしないのです。

一緒に寝てる親からも、指摘されることはないです。

 

困ってないなら、いいのかな。

発達障害の診断基準とかはそうだし。

 

「困ってないなら、だいじょうぶだよ」と、しーちゃんも言っていました。「不安にさせてごめんね、気にしなくていいと思うよ」と。

 

 

 

でも、ねぇ。

 

 アナタ、寝てるあいだに、自分の手ぇ食べたりしてますよ。

 しかも、朝になると、そのことぜんっぜん覚えてないんですよね。

 

って言われて。

気にしないわけにも、いかないと思うのです。

 

 

2月19日追記:

昔の記事に、ありました。

自分で忘れてたけど、やっぱり自分で噛んでた。

早く寝ちゃおう。

思って目をつぶると、たくさんの景色が見えはじめました。

(中略) 

そうやってブクブク沈んでこんでしまうと、もう、どうしようもないのです。

目を開けたって、暗くて周りが見えないから同じこと。胸がぎゅうぎゅうする、ちゃんと息をしなきゃ、って焦ると過呼吸になってしまうから、がんばってゆっくりゆっくり深呼吸。

ばらばらな場面の写真と動画に溺れます。

いったん、頭を完璧に切り替えるしかないのです。それがすごく難しい。

 

隣のベッドで寝ている父上に気づかれないよう、ふとんのなかでこっそりスマホを点けて猫の癒し動画を検索したり、楽しかった部活の合宿のアルバムを見返したり。

見えるものを無理やり上書きします。

 

今のところ、いちばん安全な脱出策がそれです。自力で、今いるところに帰ってくる方法。

他の帰ってくるときの方法は、近くの人に強引に起こされる(ありがたい)だとか。過呼吸になって、苦しくてそのまま寝ちゃったりだったとか。

あと、眠かったりしてぼうっとしていると、思い切り手の甲に反対側の指でぐりぐり握りこんだり、つい指の間接部分に歯を立てたりしてしまっています。絶えない手の甲の小さなアザ、手すりや壁によくぶつけてるからだと思っていたけど、自業自得説が本日浮上しました。

 こーーれーーだーーー・・・