オンライン授業、聴覚過敏な私にとっては味方でした
5年間の大学生活でさいごの授業の最終レポートを提出し終わりました。
伝染病の影響で、この1年間はずっとオンライン授業でした。
周りの友達や後輩はとっても困っていて、FacebookもTwitterも
「なぜ小中高も会社もスタートしてるのに、いつまで経っても大学生だけ学校に行けないの?」
と訴える声で溢れていました。
確かに、不都合な点もたくさんありました。
例えば、幼稚園教諭のための授業。
本来みんなでピアノに合わせて歌う代わりに、家でひとりスマホに向かって「きっと明日は♪ いーいー天気っ♪」と笑顔で歌い踊らなくてはいけないのは、なかなか不思議な気持ちになります。模擬授業も、実際の黒板が使えないと大変。
ただ、「誰かの便利は誰かの不便」とは良く言ったもので、私にとっては、オンライン授業は助かることだらけでした。
一昨年の2月と12月に、授業中に私が困る場面について書いたのですが。
そこで挙げた困りごとが、オンラインでの自宅受講だとほとんど解決されたんですよね。
- 1.各自のデバイスでビデオ教材を見られる
- 2.ビデオ会議システムのグループセッションなら、グループごとの話し合いでもたくさんの声と混ざらない
- 3.講義形式の授業:先生がマイクで話していても、こちらで音量が調整できる。ハウリングもない!
- 4.講義以外の音声が入ってこない
- 5.こちらのマイクをミュートにできる
- 6.家の電子ピアノなら音量調整がらくちん
- やっぱり、「誰かの便利は誰かの不便」
通学時や休み時間の困りごともとっても減ったのですが、今回は授業内のことに限って、まとめておこうと思います。
1.各自のデバイスでビデオ教材を見られる
これまでビデオを見る授業は、音はでかいわ、眩しすぎて頭が痛いわ、聞き取れないわで三重苦でした。
12月9日 あったらいいなの授業の工夫
いちばん大変なのは、模擬授業や実際の小学校での授業のムービーを見て
「教師はどんな声かけをしていましたか?」
「気になった児童の発言や反応を書き出しましょう」
とかいう課題。
ビデオの録音では、もう最初から話している人の声と周りの音や声が混ぜられています。私にとっては、いつものミックスジュースな周りの音の聞き分けが、一気に難易度MAXまで引き上げられた気持ち。
2月11日 授業中のちょっと困る場面まとめ
それが、各自、自分のデバイスを使えるようになったことで解消されました。
まさに、望んでいた通り!
自分の見やすい輝度・音量に調節することができるし、なんならイヤホンも使えるし、聞き取れなかったところを繰り返して見ることもできるからです。
12月9日 あったらいいなの授業の工夫
このほかにも、
- 「今は耳の調子が悪いから、あんまり音聞きたくないなぁ」というときは視聴を後回しにできる
- 自動字幕をつけたり、再生速度を調整できる
- 周りの学生の私語や物音と音が混ざらない
というのもとっても便利です。
2.ビデオ会議システムのグループセッションなら、グループごとの話し合いでもたくさんの声と混ざらない
これがいちばんオンライン授業のメリットの中でありがたかったです。
今まで先生が「じゃ、それぞれ話し合ってー」と言うたび、ぎゅっと背中を縮こまらせていました。
グループワーク、ペアワークは、今喋ってる相手の声を拾うのに必死です。めっちゃ近づいたり、耳に紙当てたり、わかってるふりしたり。
大人数だとさらに大変で、普通に周りからの音がうるさすぎてくるしい。
グループ活動のために机や椅子を動かすのも、ほんとに苦手な音がするので困ってました。
ビデオ会議システムでの授業なら、グループ活動でもボタンをぽちっとするだけ。
1つのグループの人たちしか同じ部屋にいないので、周りの話し声で困ることがありません。議論の内容に集中できます。(あと、何回でも聞き返しやすい雰囲気なんですよね、Wi-Fi回線のせいにできるから!)
そして机椅子移動の騒音がないだけで、授業がとっても楽なものになりました。
そのほか。
3.講義形式の授業:先生がマイクで話していても、こちらで音量が調整できる。ハウリングもない!
マイクに息が入っちゃったときの「フウッ!」っていう突然の強い音。あれすっごく苦手だったので、あれが少ない(あっても音量調節できる)のは助かります。
4.講義以外の音声が入ってこない
オンデマンド方式で先生がひとりで講義するムービーを視聴する場合はもちろん。
ビデオ会議システムで先生が大人数に向かって喋るにしても、そのとき喋っている人以外の音声がミュートになっているのはありがたいです。
周りの私語は、音量に関わらず先生の声と混ざってしまいます。「気になる」とかいうレベルじゃなく、講義の内容が上手く聞き取れなくなってしまうので、大変いらいら。
2月11日 授業中のちょっと困る場面まとめ
↑この、「あんたがたのせいで今のとこ聞き逃したでしょーが!ノート写させろや!まぁどーせちゃんと聞いてねぇんだろっがよ!」という苛立ちがなくなりました。ストレスフリー!
5.こちらのマイクをミュートにできる
これは聴覚過敏というより、衝動性・多動性の方なんですけど。
私、授業中とっても落ち着きがなくて。話に集中してないわけではないんですけど、とりあえずエンドレスで体が動いちゃうんですね。
「お!今の別の教科書にこれ書いてあったな!どこだ!…………あっれ、けしゴム消えた~…………ん、のどかわいた、水筒水筒」
とずーっとガサゴソしてるので、ときどき先生に「うるさい」って怒られてました。周りにも迷惑だっただろうし。
こちらのマイクボタンをぽちっとしてしまえば、心おきなくガッサゴッソしながら授業を受けられます。こちらもストレスフリー!
6.家の電子ピアノなら音量調整がらくちん
音楽の授業、普通に音が大きくてつらいです。
自分でピアノを弾く授業では、ソフトペダル踏みっぱなしでそーっと弾いています。
表題のとおり。
合唱や合奏ができないのは残念ですが、まぁあったときも練習中はひとり別室だったので変わらんし。
もうあのときのように、みんなの前でパニックを起こすこともない。
やっぱり、「誰かの便利は誰かの不便」
とまあ、良いところだけを挙げたのですが。
これらのこと、大学の知り合いの前では大きな声で言いづらいのです。
「大学生活、こんなはずじゃなかった」と、サークルのオンライン飲み会で涙を流す1年生。
「毎日毎日、家にひとりぼっちで辛い。伝染病が怖いから東京から実家にも帰れない」と精神を患っていく後輩たち。
私の周りにはあまりに苦しんでいる人たちが多い。とてもじゃないけど、「私はこのままずっとオンライン授業がいいなー!」とは言えません。
「じゃあ、さびしくなったらいつでも私にLINEして!」とか、ありきたりなセリフしか吐けなくて悔しい。彼らが求めてるのはそんなことじゃない。
本当は、授業形態や個人の希望によって、授業ごとにオンラインか通学方式か選べたらいいのでしょうけど。
いつかそんな時代が来るのかなぁ。
大学に入学したときは、こんなふうに毎日家で授業を受けて卒業することになるだなんて、想像もしていませんでした。
だからきっと次に生活が変わるのも突然で。今からは思いつかないような変容で。
でもそのときも、できるだけたくさんの人が生きやすい方向に調整していけたらいいなと思います。