かっぱちゃんの耳

感覚過敏やらADHDの診断をもらった大学生が、特別支援学級の先生になりました。

「大変だね」と言われるたびに

例えば、夏休みのお昼時。

混じりあう食べ物の匂いが苦手だから、ひとり職員室を出て、教室でごはんを食べること。
濡れたものの感覚が嫌いだから、掃除や図工用にビニール手袋を持ち歩いていること。

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発達障害という体の特性と一緒に仕事をしていて、よく「大変だね」と声をかけてもらいます。

別に、嫌とかじゃないのです。むしろ気にかけてもらえてるんだなって嬉しくなるし、ありがたい。

 

ただ、すぐ返事できないときがよくあります。

もちろん、「そうなんですよねー(笑)」と返せることも多いんです。過敏性で自動車免許が取れないから、車なら20分の研修先に毎回電車とバスで1時間半かけて行ってることとか、迷わず「はい、大変です!」って冗談めかしながら答えられる。

 

ただ、最初に挙げたようなことについては、「大変だね」と同情されると、不思議な感情になるのです。

 

私、とっても助かってるのに?
そんなに大変そうに見える?そーなんだ。へーえ!

と、感心するような気持ちです。

 

だって、教室でひとりでごはんを食べていいなんて最高です。

給食じゃないから、嫌いな料理をごくっと飲み込まなくていい。ぐうっと鼻を押し上げるような、様々な食べ物の匂いが詰まった部屋に居なくていいんです。先生たちがいっぱいの職員室なんていう騒がしいとこに居なくていい。

 

ビニール手袋だって同じだです。

小学校のときも大学の実習でも、そんなことできなかったですもん。うわっと手をひっこめたいのをこらえて、濡れぞうきんも絵の具バケツも触るしかなかった。

それが!教員になったら手袋し放題!

ついでに言えば、窮屈な上靴の代わりにスポーツサンダル履いて過ごしても良かったり、集会の途中で動いてマイクの音が小さい場所探せたり……「先生」って何かと特権階級です。ひゃっほー。

 

 

学校という空間は、私が小さいときよりも、大学のときよりも、ずっと居心地が良い場所になりました。

我慢しなくちゃいけないこと、大変なことが減りました。

 

だから、「大変だね」と言われると、
「いやいや!今とってもハッピーですよ!」という素直な思いと、

「でもこれが大変に見えるってことは、私はそれなりに今不便な思いをしてるってことなんだな。もっと楽になる手段があるのかな」

と考える頭とで、返答がスッと出てこなくなるのです。

 

 

とはいえ。ニコニコ笑いながら、

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と答えるのがいちばん正解らしいというのが、最近学んだ社会性です。