5月29日 めでたしめでたし新しい家とプチパニック
ずっとずっと待ち望んでいた、大学の近くでの一人暮らしが始まりました。
もう毎朝毎晩、洗濯機の中に放り込まれたような思いで駅を歩かなくていい。じっと息をつめながら満員電車に耐えなくていい。
過呼吸になりかけても、それを隠すため枕に顔を押しつけなくていい、好きなだけ時間をかけてゆっくり落ち着ける。掃除機や洗濯機だって、自分が調子のいいときに動かせば音は気にならない。
新しい家は閑静な住宅街の中に位置しており、車やバイクの音はほとんど気になりません。しかも前の木造ではなく軽量鉄筋コンクリートなので、お隣さんの低音ボイスに怯えることもないのです。
学校に近いって、すてき。
ひとりって、すてき。
静かって、最高!
ベッドにごろんと寝転がると、じわりじわりとしあわせがこみあげて、涙がでそうになります。
1時間半の通学時間が5分になったこと、聴覚過敏の宿敵大ボスのような駅に行かなくてもよくなったこと、電車に乗らなくても家に帰れること。
それは、すごくすごく大きなことなのです。
朝学校に着いたときの元気、一日の終わりの残り体力が、これまでとはけた違いに変化しました。
引っ越してからというもの、友達たちにおはようとあいさつをすると、「なんか、かっぱちゃん今日血色いいね」「最近、元気になったね」と言われるようになりました。
また、家に帰ってから、勉強したり、家事をこなしたり、好きなことに時間を使えるようになりました。それがすごく嬉しいんです。
毎日9時前に倒れこむように布団に入らなくてもいい。一日が長くて、充実しています。
ここまで長かった。がんばった。
費用と手間をかけてまでひとり暮らしさせてくれて、お父さんお母さんほんとうにありがとう。
これですべてが上手くいくようになると思っているわけじゃないけれど、ぐるんと大きく良い方向に向かいはじめたのは確かです。
とはいえ。
慣れない場所というのは、やはり苦手です。
新しい家にも、まだ慣れません。
自分が好きなように家具も物も配置してあるはずなのですが、やはりまだ動線が定まっていないというか、ひとつのことを終えるまでにあっちこっちうろうろしています。
引っ越した翌日の朝のことを心配していました。
今まで、起きてから家を出るまで、ひとつの流れがありました。
ふとんをたたんで、スリッパをはいて、鏡のところへ行って、髪をとかして…という一連の動きはすっかり体にしみこんで、自動化していました。
それが、新しい場所となったらすべてリセットです。
次に何をすればいいのか、そのためにどこに行けばいいのか、自分の部屋なのに、迷子になってしまいます。
翌朝の動きがわかっていないとなると、不安で前の夜に寝られません。見通しがもてないのはよろしくない。
そんなわけで、例によって、朝のTO DOリストを作りました。
今までもあったものがより細かくなりました。
おかげで、今のところ朝は余裕をもって支度を終えることができています。
家の中での迷子は、何も朝だけとは限りません。
TO DOリストがあると、すごく動きやすい。とっても楽。
朝のリストを作ると、ほかの場面のものも欲しくなってきます。
ホワイトボードを買い足しました。
今日の夜も、ちょっとしたことからプチパニックになってしまいました。
もともと、「自宅に知らない人が訪ねてくる」という状況がとても苦手でした。
友達は平気なのだけれど、宅配便とか、電気の人とか、知らない大人が玄関先まで入ってくると取り乱してしまいます。自分の「安全圏」が安全じゃなくなる!と思って、なんだか焦ってしまうのです。
引っ越しに伴う手続きの人(ガスとかWi-Fi)が来るときには、友達に頼んで一緒に部屋にいてもらったのだけれど。
今日の宅配便屋さんは、不意打ちでした。
なんとかサインを終えて、ドアを閉めた瞬間。
バタンというドアの音とともに、頭が真っ白になりました。
私、なんでここにいるんだっけ?
私、何したらいいんだっけ?外に出るの?違うっけ?
どうしよう。どうすればいいんだろう。なにしなきゃいけないんだろう。
冷蔵庫?ちがう、こわい。レンジ?水道?ちがう。洗濯機?こわい。ドアがある、くしがある、とけいがある。わかんない。
見えるもの全部こわい。全部きらいだ。
困って困って困り果てて、それでも一人で静かなところいるから、時間がたてば落ち着いてくるもので…今に至ります。
家に慣れてくれば、そのうち自分の落ち着き方もすぐに見つけられるようになるのかな。
突然の来客にも、落ち着いて対応できるようになりたいです。
今は、まだ黄色ゾーン。
二枚目のホワイトボードに、せっせとやることを細かく書き出しました。
書くのは、落ち着きます。
絵を描きたいけど、机が引っ越しの際に壊れてしまったので描けません。ざんねん。
だから、代わりに文章をせっせと書く。頭のなかがうろうろするかわりに、手を動かす。
そうしているうちにきっと、慣れていくのだと思います。