かっぱちゃんの耳

感覚過敏やらADHDの診断をもらった大学生が、特別支援学級の先生になりました。

2月4日 ぽかぽか日光浴

国道を走る自動車の音に、体をぎゅっと固くしながら学校に来て

授業が始まるまでの教室のガヤガヤが頭に響くのをまたぎゅっとバリアを張ってこらえて

でも授業自体はおもしろいから、なんとか、学校に来る。

 

クラスメイトとわいわい昼ごはんを食べるには学食はうるさすぎて

おっかないホケカンやら支援室に行っても何か急に治るわけでもなく

休み時間は室内の喧騒に耐えきれないから寒い廊下で過ごすしかないし

でも気遣ってくれる友達がいるから、なんとか、楽しくすごせる。

 

放課後の帰り道は車のライトがぐさぐさ刺さって痛い

満員というほどでもない電車なのに、どこの車両へ行っても、匂いも音もしんどくて

なんとか家に帰りついてみれば、お父さんに怒られるか、隣の人の話し声が響いて怯える夜なわけで

でも寝れば楽になる、そのうち朝が来る不思議なベッドがうちにある。

 

 

私、日々の生活は、あんまり得意じゃないみたい。

たぶん、ニンゲン、向いてないなあ。

 

って最近よく思います。

電車も学校も道も家も、「がんばって乗り切る」場面ばかり。

 

 

だけど、今日は、いい日でした。

 

あたたかくて、私は昼ごはんを屋外で食べることにしました。

しーちゃんと大学にあるウッドデッキでピクニックです。といっても、食べるのはコンビニごはんだけど。

 

あったかい日は、いい日です。

木々はまだまだ寒そうな冬の枝ですが、空気は春の陽気でした。

白っぽい太陽の光が膝をぽかぽかさせてくれます。このまぶしさは、好きなまぶしさ。

なんの匂いもしないけど、いい匂い。たぶん、あれが風の匂い。

 

ベンチに座っていると、目の前で裸足のちびっこがパタパタ走りまわりはじめました。年少さんくらいかなあ、男の子と女の子ひとりずつ。

その奥には図書館と、私が好きな学内カフェが見えます。そこへ向かう、ゆっくりした歩きの大学生たちも見えます。

しーちゃんが何か難しい話をしてるなあと思いながら、ちびっこがお母さんのところにかけもどるのを見ていました。

ヨーグルトドリンクがおいしい。風が気持ちいい。ちびっこ可愛いな、私も走りたい。

 

これが、いい時間なのだと思いました。

ほんの30分くらいで、最近の固まってばっかりだった私の甲羅が、あったまってすっかりやわらかくなった。

 

こういう時間があるから、今のところ、ニンゲン生活をやめる気にはなかなかなれないのです。

向いていないけど、それなりに、楽しいときもいっぱいあるのです。

 

 

今日の帰りの国道沿いと満員電車は、だいじょうぶでした。

昼間を思い出せば、すぐにまた頭のなかは、春のぽかぽかなウッドデッキ。目の前の息苦しさが遠くなるのです。

 

私もまた単純な生きものだから、飼っていたインコやカメと同じく、ちょっとした日光浴ですっかり元気になるみたいです。