2月16日 公開講座「発達障害の診断と治療の進歩」で聞いてきたこと①:音の過敏に効く薬
完璧なタイミングで気になる市民公開講座が開かれるということで、聞きに行ってきました。
会場は発達検査を受けた国立精神神経医療研究センターなので、あなおそろしと警戒気味だったのですが、ホールの前には芝生の丘が広がり、桜の木が咲いていました。だから、思ってたよりも、いいところ。
東京で早くに咲く桜はなんという種類なのでしょう。
2月半ばのぽかぽか陽気の青空です。開演まで少し時間があったので、斜面に座ってピクニックしました。
とっても、しあわせ。充電ばっちりです。
今回の講演に来ている方は、この研究センターの病院に通っている患者さんやそのご家族が多いのだそうで、発達障害についてはある程度の基礎知識・理解がある人たちを対象にした講演内容でした。
特別支援教育についての大学の授業よりも、医療寄りの立場から、最新の研究の結果や薬の開発について聞くことができました。めっっちゃくちゃおもしろかったです。
パンフレットいろいろもらえました。
こんど実家に持って帰ろうと思います。
どの先生の講演もとても興味深くてわくわくすることばかりだったのですが、そのなかで小児神経科の先生のお話が、私にとっていちばん衝撃的でした。
ふたつ、ありました。
そのうちのひとつは、
音の過敏をもつASD特性のある人に、効果を示している新薬。
今いちばん困っていることは、音と光の洪水のなかで毎日生きなければいけないこと
家でも外でも電車でも、音が頭に刺さって落ち着かないこと
安心できる静かなところがなくなってしまったこと
ストレスとか神経うんぬんとかよくわかんないけど、これは一過性だろうし、薬やら治療でそのうち治るって思っていたんです。だから、
「過敏に効く薬なんてありません。それは一生続きます。」ってなってしまって「治りません。そのうち成長して良くなるかも、いつか知らないけど」っていうことを知ってしまって
これは、たぶん、ショックなのです。
絶望と言うのは大げさすぎるけれど、がんばる頼りにしていた登山杖が、途中でぽっきり折れてしまったような。
「そんな薬はない」と言われてから、それから悲しくてしんどくて、どうしようかと思っていたのに。
その4日後にあっさり少しの希望が見えて、それがほんとうに自分が頼れるものなのかわからなくても存在を知っただけで、すっかり元気になりました。私はつくづく単純で、とても幸運です。
講演によると、
- 総合失調症と自閉症スペクトラムの症状は、神経科学の面から見れば、症状はとても似ている
- このピリドキサミンも、もともとは総合失調症における易刺激性(外からの刺激に敏感に反応してしまって、興奮したり攻撃的になったりする)への薬
- 新しい成分というより、ビタミンB6の一種をかなりの量飲むという薬。もともと体内に存在するビタミンB6だし、ビタミンBはもし過剰に取りすぎても自然に排泄されるので安全
- 自閉症スペクトラムの特性による易刺激性、とくに音の過敏がある人にも、効果が出ている
- 現在、東北大学とこの国立精神神経医療研究センターで、医師の主導のもと治験をしている
- もし、12歳以上の方で試してみたいという人があれば、ぜひ協力してね
ということらしい。
喉から手が出るほど、 手どころか腕と肩あたりまで出るほど、試してみたい。
期待しすぎるのは良くないとはわかりつつも、先生に直接質問しにたくてうずうずうずうずしました。「21歳でもいいですか!?ちゃんと診断ないとだめですか!?」って手を挙げたくてむらむらむらむら。ちゃんとこらえた。えらかった、自分。
ただ問題が、いくつか。
その研究をしているのは、小児神経科。一方で、この国立なんとかセンターでは発達検査を受けることしかできず、大人の発達障害は診ていないのです。
それと、私にはまだどこのクリニックの主治医も、診断もついていない状態。しかも、センターのお医者さん曰く「ワタシならADHDの診断はつけますね、ASDは傾向程度ですかね」くらいなので、ASDもってる人用の治験をさせてもらえるのかどうか…
ちゃんと、ぜんぶ終わったあとに、質問しに行きました。
このセンターで発達検査を受けたものの、主治医はまだおらず、大学の保健管理センターで薬をもらっていると伝えたところ、
「小児神経科にいらっしゃい。わたし個人当てに、紹介状を書いてもらって」
とのこと。
口頭でしょしょっと言われただけなので、ほんとうに診てもらえるのかはわからないけれど、とにかく保健管理センターのコツコツ先生に「紹介状!!!書いてください!!!」ってお願いしようと思います。
いやはや。
自宅から国立なんとかセンターは電車でちょっと遠いのですが、講演会、行ってよかったです。ほんとよかった。ちょっと興味があってぐらいだったけど、ほんとによかった。
この先生の講演でもうひとつ発見したことについては、また明日書きます。