4月17日 ひとりぐらしを巡る攻防メモ
父上とふたりで暮らしているこのおうちに、ひっこしの案が出ています。出ているというか、がんばって、出した。
学校の近くでひとり暮らしを始めるか。
それとも、今よりは学校に近い場所(電車で20分)でまた父と二人暮らしか。
両親からは、後者を強く勧められています。父と一緒なら安心だし、かかる費用もけた違いに安いし。
でも私は、だんぜん、一人で暮らしたいです。
学校の近くに住みたい。
そうじゃないと困る。
理由はいろいろあるのだけど、例によって「つらい。困ってる」と親に言えない私です。口で上手く説明できません。もやもやばかり溜まります。
ただの心情と言い分書きなぐりメモ。
1.電車と駅がほんとうにつらい。
「妹も、同じぐらいの時間をかけて電車で大学に通ってるじゃない」
「今から電車が無理だとか、東京に就職しようとしてるやつが何を言ってるんだ」
親の言うことは、もっともなのです。
だけど、つらいの。
毎日がつらい。
妹も妹で大変なこといっぱいあると思う。
電車に乗れなきゃ東京でもどこでも将来暮らしていけない。
そんなことはわかってます。
でも、つらいのは、私なんです。今なんです。
他の人のことや、将来のことは、とても考えられない。
1,2年の2年間、ちゃんと毎日通ってた。ちゃんとできてた。そんなことも、私は誰より知ってる。
ただ、駅に行く。電車に乗る。大勢の人に囲まれて、ガタゴト揺られて1時間。駅で降りる。
それだけのこと。
単純で、黒いランドセルを背負った小学生だってやっていることなのに、なんでこんなにしんどくなったのか、わからないんです。それとも前はしんどさに気づいていなかっただけなのか。
親に上手く、伝わらない。
つらさも、深刻さも、否定されないけど、理解もされない。
また救急車に運ばれないと、わかってもらえないのかなあ。駅でパニックになって、もう何度もしーちゃんや友達たちに迷惑をかけているのに、その動画でも撮って見せないと信じてもらえないのかなあ。
薬でだいぶ楽になったとはいえ、やっぱりつらいものはつらい。
そのうち終わるって言い聞かせて、毎日なんとか耐えています。
家が大学に多少近くなっても、電車に乗るんじゃ何も意味がないんです。
ひとりで暮らしたい理由は、もうひとつ。
2.もうこれ以上、お父さんと一緒に住みたくない
お父さんのことは大好きです。掃除も洗濯も早起きして毎日やってくれて本当にありがたいと思っています。雨の夜は私の傘も干してくれるし、私のワイシャツまでアイロンかけてくれるし。放任主義で、私の帰りが遅かったり泊まりが多くてもうるさく言わないし。すごく愛されてるって、感じています。
でも、もう無理なんです。
一緒に暮らしていると、息ができない。
朝起きれば布団の畳み方が汚いと言われ、自分で洗濯をすれば干し方が違うと小言、珍しく自炊をすればゴミが多すぎると怒られる。
ドアの閉め方も、ポットのお湯の量も、お皿のしまい方も、もう、何をしても、不備を指摘されます。何もしなかったら何もしないで怒られます。
ぜんぶ、お父さんの指摘は正しいのです。
だから、言い返せない。実際に私が悪いから。
お父さんのいびきで毎晩よく眠れなくても、私の分際じゃ文句なんて言えません。
夜、外から帰ってきて家の電気が点いているのを見ると、玄関ドアを開ける前に少し躊躇します。隣に座って作業しているだけで、次に何言われるんだろうって緊張して、体がちょっと固くなります。
雑踏の音とライトの洪水を1時間半耐えてまで、どうして私は息苦しい場所に帰らなくちゃいけないんだろうって、学校を出ると考えてる。
お父さんにいつも小言を言う癖を直してもらうとか、そういう問題じゃないんです。
家族のなかの誰と暮らしていても、いずれこうなっていただろうと思う。
私は、ひとりで、静かに寝たい。誰にも怒られずに、ゆっくりしたい。
しーちゃんの勧めで、こんど支援室のインコ先生に相談することになりました。
学校での生活を支援する場所なのに、こんなことまで持ち込んで良いものなのかと私は半信半疑というか、「それを訴えるところは、ここじゃないよね?」って言われるのが怖いのだけど…インコ先生は、話を聞いてくれるのだそうです。
「どこに相談したらいいのか、そもそもしていいのかってわからないだろうけど、いちばん良くないのはひとりでずっと抱え込むことだよ」
しーちゃんの言葉を胸に、インコ先生にはがんばって話してみようと思います。