かっぱちゃんの耳

感覚過敏やらADHDの診断をもらった大学生が、特別支援学級の先生になりました。

2月21日 「本日の予定表」と講義棟前からの脱走①

毎日、頭の中に「本日の予定表」が作られます。

これを前日の夜から、寝る前とか、手帳を見ながらとか、朝起きたときとか、電車に乗りながらとか何度もなぞって思い返します。

そうすると、なんか楽しい。安心するような気もするし、キビキビ動けるかんじがしてやる気が湧いてくる気もします。

 

頭のなかに、1日の自分の動きがイメージとして入っています。朝学校へ行く電車に乗る自分から、夜家でパソコンをたたく自分まで、ひとつの動画のように見えます。

だから、急な予定の変更があると、現在の時間までそのビデオを巻き戻して、新しく「今からやることをする自分の図」を書き直さないといけません。その作業は一瞬だったり、しばらくかかったりします。

 昨日、それがちょっと上手くいかなかった。

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2通りくらい、イメージ図としてもっていた自分の動き。

ホケカン(保健管理センター)でのコツコツ先生との面談は、いつもとっても疲れて、終わった後も頭がいっぱいになってしまうことが多いです。なので、もし今回もそうなったら、好きな場所である図書館で少し落ち着いてから、部活に向かおうと思っていました。

 

それが、ちょっと予測通りにいかなくて。

プチパニックを繰り返してしまい、結局、部活にも係会にも出られませんでした。

周りにも迷惑をかけてしまったし、私は週に一度しかない部活に出られなくて悲しかったので、どうしてああなっちゃったんだっけ?という振り返りメモです。

 水色の部分は、予定通りに進んでいた部分。黄色のバチバチは、頭がバーン!となってしまったところ。

 

保健管理センターでのコツコツ先生との面談が終わり、「今日はそんなに頭がパンクしてない!よし、部活だ!」と灰色の講義棟に向かっていたら、

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よくわかんないけれど、気が付いたら、大学の出口の方へ走り続けていました。

講義棟とは逆方向。とりあえず、「逃げなきゃ!」と思って、ひとりでパタパタ走る。

息が切れて立ち止まったはいいものの、どうしたらいいかわからない。勢いだけで、知らない町で途中下車したような気分です。

知らない場所では、ないのです。もう3年も通っている大学です。だけど、こういうときは、ぜんぶ知らない新しいものに見える。

 

 

今書きながら思い返すと、似たような状況はこれまでも何度かありました。

バイトに行く道中、大きな駅での乗り換えで帰宅ラッシュと電光掲示板のCMの音にのまれて、我を忘れて駅から飛び出して。乗り換えでしか使わない駅だったから、周辺の町のことは何もわからないのに、知らない路地を走って曲がって、また曲がって、大きい通りに出ては引き返してまた走って、

吉野屋の看板(光る看板の中では数少ない、私の好きな看板です)を見て、我に返りました。

すっかり知らない町で、迷子になってしまいました。Google MAP先生は優しい。バイトかなり遅れたけど許してくれた人たち、ものすごく優しい。

 

たぶん、なんですけど、

ほんとうに苦手な場所や状況になってしまって、それが周りの目がない=「今はダメだモード」ではないときは、

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1月25日 みつかっちゃった

 「ここはダメ!!」「ダメだから逃げなくちゃ!」の衝動で、後先考えずに走り出してしまうんだと思います。

もう、半分本能みたいに、逃げるしかなくなる気持ち。

 

でも、こんなこと、大学に入ってのここ最近まで、なかったと思うんです。

小さいころからスーパーとか太鼓祭りとか、苦手な場所へ「行きたくない」と駄々をこねて回避すること、うるさい場所で耐えられなくなる前に何かと理由をつけて上手に脱出すること(「外であそぶー!」とか「飽きたから、ほかのとこ探索してくるね」と親や大人に予告してから移動すること)はよくありました。

けれど、こんなふうに自分の抑えがきかなくなって走り出すなんてこと、なかった。親からも聞いたことありません。

こんな、子どもみたいに…

 

 

 

話を戻します。

講義棟前から走り出してしまった後。

ぐるぐる辺りを見回していると、大学の図書館が目に入りました。

「図書館!好き!あ、そうだ、図書館で休むんだった」

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図書館に入れないと途方にくれていたら、今度はウッドデッキが視界に入りました。

ウッドデッキも、あったかくてうるさくなくて、お気に入りの場所です。

日当たりのいいところに腰かけて、頭の中の砂嵐が落ち着くのを待つことにしました。

 

追いかけてきたしーちゃん(ホケカンでの面談に付き添ってくれていました)に、「急に走り出して、どうしたの?」と聞かれて、自分が逃げるためにここまで走ったんだということを思い出しました。

 

その後、しばらくぽかぽかした場所で風に吹かれて。

ウッドデッキをかけまわる幼稚園の子どもたちと保育士さんを眺めて。

 

私が落ち着いてきたのを見計らって、しーちゃんが「部活、行く?」と声をかけてきました。

「うん、行こう」

そう答えようとした途端、目の前に灰色の講義棟がぶわっと覆いかぶさるように見えました。

理由は、わからないのです。わからないけど、とにかく、あの講義棟に近づきたくない。

でも、廃部寸前で人数の少ない私たちの部活、今日はとくに人数不足で行かないといけない。部活に参加するには、講義棟に入らなくちゃいけない。

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頭が苦しいときは、一度にひとつのことしか浮かばなくなります。

「あ、部活もう始まっちゃってる時間じゃん。行かなきゃ!」というのと、「そうだ、あの場所にあるんだ。いやだどうしよう」というのを、交互にぽんぽん思い出すのです。同時にふたつのことが考えられない。

そういうときは、矛盾する感情や「次にこう動きましょう」の頭の命令をいっぺんに処理すること、2つの情報を吟味したうえで決断するということが、すごく難しいです。

 

結局また、よくわかんなくなってしまって。

どうしようどうしようとぐるぐるしていた心に「こんな姿を、部活の後輩たちに見せられない」という3つめの気もちが浮かんだところで、「今日は、行かない」と決めて、口に出すことができました。

 

 

 

自分のことなのに、わからないことばかりです。

どうして、とくにうるさかったわけでも、まぶしかったわけでもない講義棟の前で、逃げたくなったのか。

どうして、最近までそんなことなかったのに、苦手な場所から走って逃げ出すという行動が出るようになったのか。

 

また、まとめます。